静脈認証とは、指や手のひらの静脈パターンを読み取って本人確認を行う生体認証技術です。体内情報を利用するため模倣が難しく、ICカードの貸し借りやなりすましによる不正打刻を防ぎやすい点が特徴です。
近年では、この静脈認証による打刻に対応した勤怠管理システムも増えており、セキュリティと打刻の正確性を重視する企業を中心に導入が進んでいます。本記事では、静脈認証の仕組みや打刻方式の違いを整理したうえで、静脈認証が利用できる勤怠管理システムを比較して紹介します。
あわせて、導入が適している職種や、静脈認証による勤怠管理のメリット・デメリット、選定時の注意点も解説するので、勤怠管理システム選びの参考にしてください。
静脈認証に対応した勤怠管理システムとは

静脈認証とは、指や手のひらの静脈パターンを読み取る生体認証技術を用いて個人を認証する仕組みです。この仕組みを勤怠打刻に利用することで、従業員は本人確認を行いながら、正確かつスムーズに出退勤を記録できます。
静脈は体内にある情報のため外部から模倣しにくく、ICカードやタイムカードと比べて本人確認精度が高い点が特徴です。カードの貸し借りによる代理打刻を防止できるほか、カードの発行や再発行といった管理コストも発生しません。
また、指や手のひらをかざすだけで打刻できるため操作が簡単で、現場に定着しやすいでしょう。セキュリティ性と利便性を両立しながら、勤怠管理の正確性を高めたい企業に適しています。
静脈認証打刻の種類

静脈認証による勤怠打刻には、指の静脈を読み取る「指静脈認証」と、手のひら全体の静脈パターンを利用する「手のひら静脈認証」の2種類があります。
それぞれ認証方法や機器の特性が異なるため、導入環境や利用者の使いやすさに応じて選択することが重要です。
指静脈認証
指静脈認証は、人体に安全な近赤外線を指に照射し、指内部にある静脈のパターンを読み取って本人を識別する技術です。指をセンサーにかざすだけで認証できるため操作が簡単で、勤怠打刻との相性にも優れています。
後述する手のひら静脈認証と比べると、認証機器が小型なケースが多く、設置スペースを確保しやすい点も特徴です。
手のひら静脈認証
手のひら静脈認証は、手のひら全体に広がる静脈パターンを読み取って個人を識別する生体認証技術です。認証に利用する情報量が多いため精度が高く、手のひらをかざすだけで認証できる非接触型の運用ができます。
指よりも認証面積が広いため読み取りが安定しやすく、利用者の姿勢や手の状態による影響を受けにくい認証方法です。
静脈認証ができる勤怠管理システムおすすめ10選
静脈認証は、勤怠管理システム側が直接機能として提供していなくても、外部の静脈認証機器を接続することで利用できる場合があります。ただし、公式に「静脈認証に対応している」と明記されているサービスのほうが、導入や設定、運用面でのハードルは低くなります。
ここでは、公式に静脈認証ができる勤怠管理システムを中心に、特徴や料金体系、対応している認証方式・機器をまとめて紹介します。指静脈・手のひら静脈といった方式の違いも踏まえ、自社の運用に合うサービス選びの参考にしてください。
| 勤怠管理システム | 静脈認証(対応方式・機器) | 月額料金 |
|---|---|---|
| KING OF TIME | 指静脈認証(PC-KCA110) | 1ユーザーあたり:330円〜 |
| AKASHI | 手のひら静脈認証(PalmSecure) | 1ユーザーあたり:220円〜 |
| ジョブカン勤怠管理 | 指静脈認証装置(PC-KCUA011) | 1ユーザーあたり:220円〜550円 |
| HRMOS勤怠 | 指静脈認証(静紋) | 従業員30名まで:無料 従業員31名以上:110円 |
| 脈レコ | 手のひら静脈認証 | 従業員50名まで:14,300円〜 |
| タイムログDX | 手のひら静脈認証 | 1ユーザーあたり:385円〜(最低10ユーザーから) |
| ShiftMAX | 指静脈認証 | 要問い合わせ |
| BIZWORK+ | 指静脈認証(静紋) | 買い切り型(要問い合わせ) |
| freee勤怠管理Plus | 指紋+静脈または手のひら静脈認証 | 1ユーザーあたり:330円〜 |
| Touch On Time | 指静脈認証または指ハイブリッド認証 | 1ユーザーあたり:330円〜 |
(すべて税込表記)
KING OF TIME

出典:勤怠管理・人事給与システム市場シェアNo.1 KING OF TIME(キングオブタイム))
KING OF TIMEは、日立製作所製の指静脈認証装置(PC-KCA110)を利用して打刻が可能な勤怠管理システムです。PCに専用アプリをインストールし、機器に指をかざすだけで高精度な本人確認を行えます。
シフト管理や残業アラート、有休管理など勤怠管理に必要な機能が一通りそろっており、静脈認証を含む複数の打刻方法を併用できる点も特徴です。静脈認証機器は1台41,250円(税込)で別途購入が必要です。
AKASHI

AKASHIは、富士通の「PalmSecure」を接続することで、手のひら静脈認証による打刻が可能な勤怠管理システムです。 PCに機器を接続し、手のひらをかざすだけで認証できるため、非接触で衛生的に運用できます。
シンプルなUIと柔軟なシフト管理が特徴で、勤怠管理にかかる工数削減を重視する企業に適しています。月額利用料には保守料も含まれており、また、静脈認証機器は別途購入が必要です。
ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理で静脈認証を利用する場合は、Windows用打刻アプリと指静脈認証機器(PC-KCUA011)を組み合わせて導入します。公式に推奨されている構成のため、比較的スムーズに導入できる点が特徴です。
シフト管理や休暇申請、工数管理など幅広い機能を備えており、業種を問わず利用しやすい勤怠管理システムです。指静脈認証機器は別途購入が必要で、料金は60,500円(税込)です。
HRMOS勤怠

出典:【HRMOS(ハーモス)勤怠】無料で使える勤怠管理システム
HRMOS勤怠では、日立製作所の指静脈認証装置「静紋」を利用して打刻することが可能です。公式サイトにはセットアップ手順が公開されており、導入しやすい点が特徴です。
HRMOS勤怠はクラウド型で、労働時間の自動集計や残業アラートなど、労務管理に必要な機能を網羅しています。料金プランは、登録人数に応じた従量課金制を採用しています。料金は従業員30名以下なら無料で、静脈認証機器は別途購入が必要です。
脈レコ

脈レコは、富士通「PalmSecure」による手のひら静脈認証に対応し、手をかざすだけで打刻できます。
一般的な勤怠管理機能以外にもアルコールチェックの記録、お弁当注文、健康管理など、特定業界に役立つ機能を追加可能で、勤怠以外の業務効率化にも貢献します。静脈認証機器(センサー+ホルダー)は1セット約38,500円(税込)で、別途購入が必要です。
タイムログDX

出典:タイムログDX
タイムログDXは、PC、ICカード、手のひら静脈認証、タブレット、スマホなど多様な打刻方法に対応し、運用に合わせて柔軟に選択できます。これらは手のひら静脈認証以外にも複数の認証を用いて勤怠管理を行いたい場合に有力な選択肢となるでしょう。
自社に合う打刻方法は、Webサイトから無料相談で確認できます。また、静脈認証機器は別途購入が必要です。
ShiftMAX

出典:ShiftMAX
ShiftMAXは、本人特定を厳格に行いたい現場向けに、指静脈認証端末を提供しています。指先の怪我や乾燥の影響を受けにくく、高い認証精度を維持できる点が特徴です。
ShiftMAXはシフト作成・勤怠管理・給与連携まで一元管理でき、製造業や警備業などセキュリティ重視の業界で導入が進んでいます。デモンストレーションやエンジニアによる訪問ヒアリングなどのコンサルティングが無料で受けられます。
BIZWORK+

出典:BizWork+
BIZWORK+では、日立ソリューションズ製の指静脈認証システム「静紋」を利用し、高精度な本人確認を実現します。勤怠管理に加え、ワークフロー、給与計算、文書管理などバックオフィス全体を統合できる点が特徴です。
料金体系は買い切り型で、拠点数や人数に依存しないため、大規模な企業であれば月額課金の他サービスよりもコストを抑えられる可能性があります。
freee勤怠管理Plus

freee勤怠管理Plusは指紋+静脈のハイブリッド認証、および指静脈認証に対応しています。勤怠管理では、当日・当該月の勤務時間をリアルタイムで確認できます。
freeeシリーズの各サービスと連携することにより、勤怠だけでなく給与計算などの業務を一気通貫で管理できる点が特徴です。静脈認証機器は別途購入が必要になります。
Touch On Time

出典:タッチオンタイム
Touch On Timeでは指静脈認証および指ハイブリッド認証に対応したレコーダーを提供しており、PCにUSBで接続して利用できます。
また、静脈認証には非対応ながらPC不要の独自レコーダーをレンタル可能です。指静脈認証レコーダーは41,250円(税込み)です。PCにUSBで接続して利用します。
静脈認証による勤怠管理が適している職種

静脈認証は高い本人確認精度と不正防止効果を備えており、セキュリティ性や勤怠データの正確性が重視される職種に適しています。
非接触で衛生的に利用できる点や、ICカードの紛失・貸し借りといったリスクを排除できる点から、業務特性上、厳格な管理が求められる業界を中心に導入が進んでいます。
医療・福祉業界
医療・福祉の現場では、患者情報やカルテなど機密性の高い情報を日常的に扱うため、厳格な入退室管理と正確な勤怠管理が欠かせません。
非接触で認証できる手のひら静脈認証は衛生面に優れており、感染対策が求められる環境でも安心して利用できます。
こうした理由から、医療・福祉分野では静脈認証による勤怠管理が採用されるケースがあります。
製造業・工場
製造業や工場では、正社員に加えてアルバイトやパートなど多様な雇用形態の従業員が混在し、正確な打刻管理が求められます。
静脈認証であれば、ICカードやパスワードの紛失・貸し借りといったリスクを排除でき、不正打刻の防止に効果的です。
出入りの多い現場環境でも、確実な本人確認を行える点が評価されています。
研究機関・開発部門
研究機関や開発部門では、特許情報や機密技術など重要な知的財産を扱うため、アクセス管理の強化が必須となります。
静脈認証は高いセキュリティレベルを備えており、重要エリアへの入退室管理と勤怠管理を兼ねて導入されるケースが見られます。
情報漏洩リスクをできる限り抑えたい環境に適した認証方式です。
金融機関・公的機関
金融機関や公的機関では、顧客の資産情報や個人情報を扱うため、勤怠管理でも高い信頼性とセキュリティが求められます。
静脈認証は本人確認精度が高く、カード紛失や不正利用のリスクを排除できるため、厳格な管理体制を維持したい組織に適しています。
内部統制やコンプライアンス強化の観点からも導入が検討される方式です。
ホテル・サービス業
ホテルやサービス業では、フロント、レストラン、清掃、アルバイトなど複数の部門や職種が混在し、勤務体系が複雑になりがちです。
静脈認証を導入することで、確実な本人確認とリアルタイムな勤怠把握が可能になり、シフト管理や人員配置の最適化にも役立ちます。
多様なスタッフが働く環境下で、運用しやすい認証方式です。
静脈認証による勤怠管理のメリット

静脈認証による勤怠管理は、高い本人確認精度による不正防止をはじめ、カード管理の手間削減や衛生面での優位性、リアルタイムな勤怠把握など、業務効率化に幅広く貢献します。
セキュリティと利便性を両立しながら、勤怠管理の精度を高められる点が大きなメリットです。
セキュリティ向上につながる
1点目がセキュリティ向上につながる点です。静脈パターンは体内に存在する情報であり、外部から模倣することが極めて困難です。
そのため、高い精度で本人確認を行え、なりすましや代理打刻といった不正行為の防止につながります。
また、静脈認証は厚生労働省が求める「客観的な記録」の要件にも適合しやすく、法令遵守の観点からも有効です。勤怠データの信頼性を重視する企業にとって、静脈認証は相性の良い方式です。
管理工数・コストを削減できる
静脈認証を導入することで、タイムカードやICカードの発行・回収・再発行といった現物管理が不要になります。カード忘れによる打刻漏れや、後からの修正対応など、管理者の負担も軽減されます。
カードの紛失や破損にともなうコストが発生しないため、長期的には運用コストの削減にもつながります。勤怠管理にかかる工数を減らし、より重要な業務に時間を割ける点がメリットです。
衛生面で優れている
静脈認証は、手や指をかざすだけで認証できる非接触型が主流です。指紋認証のように機器へ直接触れる必要がないため、複数人が利用する環境でも衛生的に運用できます。
医療・福祉施設や食品工場など、衛生管理が重視される現場では特に大きな利点となります。感染症対策の一環としても活用しやすく、従業員が安心して利用できる勤怠管理方式です。
効率的にリアルタイム管理ができる
静脈認証は、指や手のひらをかざすだけで瞬時に打刻できるため、出勤時間帯に混雑しやすい職場でもスムーズに運用できます。クラウド型の勤怠管理システムと組み合わせることで、複数拠点の勤怠情報をリアルタイムで一元管理することも可能です。
管理者は打刻状況を即座に把握でき、シフト調整や労務管理の判断を迅速に行えます。効率的な勤怠管理を実現したい企業に適しています。
静脈認証による勤怠管理のデメリット

静脈認証は高精度で便利な一方、利用環境や運用方法によっては注意すべき点もあります。導入後のギャップを防ぐためにも、事前にデメリットを把握しておくことが重要です。
認証精度にバラツキがある
まず挙げたいのが認証精度にバラツキがある点です。静脈認証は高精度ですが、冬場の冷えや手荒れ、怪我などによって血流が変化し、一時的に認証が通りにくくなる場合があります。
また、手袋の着用が必要な職場では、都度外す手間が発生することもあります。ただし、指紋認証と比べると個人差や季節による精度変動は少なく、安定性は高い方式です。
運用環境に応じた対策を講じることで、認証トラブルは最小限に抑えられます。
利用場所の制約がある
静脈認証は専用機器を使用するため、基本的には職場での打刻が前提となります。営業先や自宅など社外からの打刻には対応しにくく、直行直帰やリモートワーク中心の働き方には不向きな場合があります。
また、機器の設置スペースや、屋外設置時の防塵・防水対策が必要になる点にも注意が必要です。柔軟な働き方が多い職場では、他の打刻方法との併用が現実的な選択肢となるでしょう。
大規模運用に課題がある
続いて大規模運用に課題がある点です。従業員数が多い職場では、出勤時間帯に認証待ちが発生する可能性があります。特に手のひら静脈認証は、指静脈認証に比べて認証に時間を要するケースもあります。
出勤時間が集中する現場では、複数台の設置や他の認証方式との併用など、運用面での工夫が求められるでしょう。
静脈認証が反応しない場合の対処法

静脈認証がうまく反応しない場合でも、簡単な工夫で改善できるケースがあります。手や指の状態、認証方法を見直すことで、読み取りが安定することがあります。
手や指を温める
寒さによって血流が低下すると、静脈パターンが変化し読み取りにくくなる場合があります。手や指を軽くこすって温め、登録時に近い状態にしてから再度認証を試すと効果的です。シンプルですが、冬場や冷えやすい環境では特に有効です。
指の当て方を変える
指静脈認証では、指の位置や角度、力加減が登録時と大きく異なると認証が通りにくくなります。指は軽く添えるように当て、指の第二関節を意識し、押し付けすぎないようにしましょう。指を左右や斜めではなく、登録時と同じように、真っ直ぐな状態で当てます。
指静脈認証の場合、別の指を登録し直す
皮膚が厚い指や、怪我をした指では認証が不安定になることがあります。人差し指や中指など、認証しやすい指を新たに登録し直すことで、安定した認証が期待できます。
複数の指を登録しておくのも有効な対策です。
静脈認証と比較検討したいその他の認証方法

静脈認証は高精度で不正防止に優れた方式ですが、勤怠管理には他にもさまざまな認証方法があります。
例えば「KING OF TIME」では、ICカード認証や顔認証、スマホアプリ、PCブラウザ、LINE連携による打刻など、幅広い手段が用意されています。
ICカード認証は導入しやすく、顔認証は非接触で高いセキュリティを確保できます。LINE連携打刻は外出先からでも利用しやすく、直行直帰が多い働き方に適しています。
このように、運用の柔軟性や認証速度を重視する場合は、静脈認証以外の方式も十分に検討対象となります。自社の働き方やセキュリティ要件に応じて、複数の認証方法を比較することが重要です。
静脈認証による勤怠管理システムを選ぶ際のポイント
静脈認証を導入する際は、運用環境や働き方に合うか、他の打刻方法と併用できるかなど、実務に直結するポイントを押さえて選ぶことが重要です。
併用できる打刻方法はあるか
静脈認証は高精度ですが、機器の故障や認証エラーが発生した際のバックアップ手段も必要です。
そのため、ICカード、スマホアプリ、PC・Web打刻など複数の打刻方法に対応しているシステムを選ぶと安心です。特にテレワークや直行直帰がある企業では、社外から打刻できる手段が欠かせません。
静脈認証をメインにしつつ、他の認証方式を併用できるシステムであれば、運用の柔軟性が高まり、トラブル時のリスクも軽減できます。
自社の環境に合うか
静脈認証は機密情報を扱う企業や高いセキュリティが求められる職場に最適ですが、人の入れ替わりが多い職場では指紋認証や顔認証のほうが運用しやすい場合もあります。
また、従業員数が多い場合は認証速度や混雑対策が重要になり、リモートワークが多い企業ではスマホ打刻との併用が必須です。
自社の業種、勤務形態、拠点数、セキュリティ要件を踏まえ、最適な認証方式を選ぶことが重要です。
デモ・無料トライアルを利用できるか
静脈認証システムは、実際に使ってみないと操作性や認証精度が判断しにくい場合があります。そのため、デモや無料トライアルを提供しているサービスを選びましょう。
お試し期間中で従業員が使いやすいか、管理画面が見やすいか、認証速度が現場に適しているかを確認します。
導入前に実際の運用をイメージできれば、ミスマッチを防ぎ、スムーズな定着につながります。
静脈認証を用いた勤怠管理システムの検討はFaberまで
静脈認証は高いセキュリティ性や不正防止効果が魅力ですが、利用環境によっては制約や注意点もあります。
自社に適した認証方式は、職場環境や働き方によって異なるため、静脈認証だけでなくICカードや顔認証など他方式との比較検討が欠かせません。
Faberでは、各認証方式の特徴や導入時のポイントを踏まえ、自社に合った勤怠管理システム選びをサポートしています。どの方式が適しているか迷っている場合は、問い合わせ窓口からご相談ください。
