法令遵守の強化や不正打刻の防止を目的に、顔認証による勤怠管理を検討する企業は増えています。一方で、まだ勤怠管理システム自体を導入していない企業や、「顔認証の導入は難しいのでは」と感じている企業にとっては、どこから検討を始めればよいのか迷う場面も少なくありません。
この記事では、比較的手軽に顔認証打刻を実現できる勤怠管理サービスを厳選して紹介するとともに、導入時に押さえておきたい注意点も解説します。顔認証導入への不安や疑問を整理しながら、自社に適した運用方法を検討するための参考にしてください。
顔認証に対応した勤怠管理サービス7選
| 勤怠管理システム | 顔認証 | 最低月額料金(税込) |
|---|---|---|
| KING OF TIME | 「Bio-IDiom KAOATO」と連携し、iPadで利用可 | 1ユーザーあたり 330円〜 |
| AKASHI | 「AIZE Biz」と連携し、スマホ・PCなどで利用可 | 1ユーザーあたり220円〜(最低10人分から) |
| ジョブカン勤怠管理 | 「FaceMe®」を搭載したiPadアプリを利用可 | 1ユーザーあたり220円〜(最低10人分から) |
| HRMOS勤怠 | 入退室管理サービス「Akerun」などとの連携で実現可能 | 30アカウントまで無料 |
| 奉行Edge勤怠管理クラウド | 「顔認証打刻 for 奉行クラウド」と連携し、専用端末を利用可 | 12,980円/従業員1人当たり429円〜(20ユーザーまで) |
| MOT勤怠管理 | 専用端末「EFR-T5」を利用可 | 4,378円(20ユーザーまで) |
| タスカルタイムカード | iPhone・iPadから標準で利用可・「FaceMe」を搭載 | 1ユーザーあたり165円 |
勤怠管理システムのなかには、APIを通じて外部の顔認証サービスと組み合わせて利用できるものもありますが、本記事では、公式に顔認証と連携している、もしくは標準機能として顔認証打刻に対応しているサービスを中心に紹介します。
いずれも、不正打刻の防止や業務効率化に寄与する機能を備えており、企業規模や運用環境に応じて選択肢が広がります。
導入を検討する際は、認証精度だけでなく、利用できるデバイスや料金体系、既存システムとの連携可否なども含めて比較し、自社にとって無理のない運用が可能なサービスを選ぶことが重要です。
KING OF TIME

出典:キングオブタイム
KING OF TIMEは、NECの顔認証技術「Bio-IDiom KAOATO」と連携することで、高精度な顔認証による勤怠打刻を実現できるクラウド型勤怠管理システムです。米国国立機関による動画顔認証の性能評価で第1位を獲得した認証を、iPadアプリを利用して手軽に導入できます。
出典:NEC、米国国立機関による動画顔認証の性能評価で第1位を獲得~利便性向上・適用範囲拡大により、セーフティ事業を加速~|NEC(Japan)
基本機能として、シフト管理、残業計算、自動集計、各種アラート機能などを備え、クラウド型でリアルタイムに勤怠状況を把握できます。料金は1ユーザーあたり月額330円(税込)からで、1ライセンス77,000円(税込)の顔認証オプションを追加することで専用アプリとの連携が可能になります。
KING OF TIMEは、多拠点管理にも強く、企業規模を問わず導入しやすい点が特徴です。
AKASHI

AKASHIは、トリプルアイズ社の顔認証AI「AIZE Biz」と連携し、入退室時刻をそのまま出退勤データとして登録できます。
AIZEの「model_6」は低品質画像にも対応し、暗所や角度の違いにも強いため、実運用での安定性が高い点が特徴です。大規模自治体での採用実績もあり、信頼性の高い組み合わせです。
AKASHI自体は勤怠管理、工数管理、シフト管理などを備え、従業員1人あたり月額220円(税込)から利用できます。また、初期費用は無料ですが、55,000円(税込)からの初期設定サポートを受けられます。
ジョブカン勤怠管理

出典:ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理は、AI顔認証エンジン「FaceMe®」を搭載したiPadアプリを提供しており、iPadに顔をかざすだけで「顔パス」打刻が可能です。マスク着用時でも認証できるため、衛生面や利便性に優れています。
基本機能として、シフト管理、休暇申請、労働時間の自動集計、アラート機能などを備え、幅広い業種で利用されています。料金は中小企業の場合ユーザー数に応じた月額制で、1人あたり220円(税込)・最低10人分から利用可能です。顔認証アプリは1ライセンス33,000円(税込)の追加オプションがあります。
* 法人向けIT製品の比較・資料請求サイト『ITトレンド』が発表した「ITトレンド年間ランキング」の「勤怠管理・就業管理」部門にて、第1位を獲得。
HRMOS勤怠

出典:【HRMOS(ハーモス)勤怠】無料で使える勤怠管理システム
HRMOS勤怠は、入退室管理サービス「Akerun」と連携することで、Akerun側に接続された顔認証端末を利用した打刻が可能になります。すでにAkerunを導入している企業であれば、追加の設備投資を抑えながら顔認証打刻を実現できます。
HRMOS勤怠は、勤怠管理、休暇管理、シフト管理などの基本機能を備え、クラウド上でリアルタイムにデータを確認できます。料金は月額制で、30アカウントまで無料で利用可能です。
奉行Edge勤怠管理クラウド

出典:勤怠管理システムの奉行Edge 勤怠管理クラウド |人事・労務クラウドのOBC
奉行Edge勤怠管理クラウドは、「顔認証打刻 for 奉行クラウド」と連携することで、専用端末を用いた顔認証打刻ができるシステムです。勤怠管理クラウド本体は、労働時間の自動集計、残業アラート、36協定管理など、法令対応に強い機能を備えています。
料金は従業員20ライセンスまでで、月額12,980円(税込)からで、顔認証打刻機能は別途オプションとして提供されます。奉行Edge勤怠管理クラウドは既存の奉行シリーズとの連携性が高く、バックオフィス全体の効率化を図りたい企業に適したサービスです。
※1:OBC上でユーザー登録を完了した数(2025年8月末時点)
※2:OBC上で本サービスを利用している人数(2025年8月末時点)
※3:日経コンピュータ 2025年9月4日号 顧客満足度調査 2025-2026 人事・HRテックソフト/サービス部門 1位
MOT勤怠管理

出典:MOT勤怠管理
MOT勤怠管理は、クラウドPBX「MOT/TEL」などとの連携が特徴の勤怠管理システムで、堅牢性やセキュリティに優れた専用端末で非接触の顔認証打刻を実現できます。勤怠管理システムの基本機能として、出退勤管理、シフト作成、休暇管理、GPS打刻などを備え、スマホアプリにも対応しています。
料金は従業員数に応じた月額制で、20アカウントまでなら4,378円(税込)です。顔認証オプションは別途契約となる場合があり、認証にネットワークを利用するかどうかなどによって料金が変わります。MOT勤怠管理は、多拠点運用や既存システムとの統合を重視する企業に向いたサービスです。
タスカルタイムカード

出典:Taskal Time-Card タスカルタイムカード | 顔認証 勤怠管理
タスカルタイムカードは、AI顔認証技術「FaceMe」を搭載し、高精度な顔認証打刻を実現します。マスク着用時でも認証可能で、タブレット端末を利用して簡単に導入できます。
料金は月額制で、顔認証機能のみを利用する場合は1人あたり月額165円(税込)で利用可能です。
1人あたり月額385円(税込)で利用できる勤怠関連の機能は、顔認証打刻のほかに勤怠管理、シフト管理、休暇管理、給与計算連携などがあり、クラウド型でリアルタイムにデータを確認できます。小規模から中規模の事業者でも導入しやすい点が魅力です。
顔認証による勤怠管理システムの仕組み
顔認証は、カメラで撮影した顔の特徴点(目・鼻・口の位置関係や輪郭など)を、事前に登録された顔データと照合して本人を識別する技術です。勤怠管理システムに顔認証を組み込むことで、従業員は顔をカメラに向けるだけで認証が完了し、専用端末やスマホ、PCなど、さまざまなデバイスでスムーズに打刻できます。
これにより、代理打刻や打刻漏れを防ぎ、正確かつ効率的な勤怠管理が実現します。また、顔認証による勤怠管理は、打刻する従業員だけでなく、管理者の負担軽減にも大きく寄与します。
勤怠管理で顔認証が注目される背景

顔認証による勤怠管理の需要は、認証精度の向上、法令遵守の重要性、そして業務効率化ニーズの高まりなど、複数の要因が重なることで急速に拡大しています。これらの背景を踏まえると、顔認証は今後の勤怠管理の高度化に向けた有力な選択肢となるでしょう。
認証精度の進歩
近年、AI技術やディープラーニングの進化により、顔認証の精度は飛躍的に向上しました。例えば、マスクやメガネなどの外的要因に強いシステムが登場し、従来の生体認証では認識が難しい状況でも安定した認識が可能となっています。
この進歩により、出退勤時や入退室時に求められる、高速かつ高精度な認証が実現し、従業員のストレスを軽減しながら、確実な本人確認が可能になっています。こうした技術的な進化が、企業での顔認証導入を後押ししています。
法令遵守とコンプライアンス強化
2019年以降、企業には労働時間を客観的に把握することが求められており、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために 使用者が講ずべき措置に関する基準」では、「使用者は、労働者の労働時間を適正に把握しなければならない」と明記されています。
従来のタイムカードやICカードによる勤怠管理は、ガイドラインに沿った運用が可能ですが、手書き修正が常態化しがちなタイムカードや、貸し借りが容易なICカードに比べ、顔認証は不正や改ざんが難しく、より高い客観性を提供します。顔認証による勤怠管理は、法令遵守と不正防止の両面で有効な手段となります。
出典:労働時間の適正な把握のために 使用者が講ずべき措置に関する基準|厚生労働省
業務効率化ニーズの高まり
深刻な人材不足が続く中、限られた人員で生産性を高めるためには、勤怠管理の効率化が不可欠です。
顔認証による打刻は、タイムカードの回収や集計、ICカードの再発行など、煩雑な業務を減少させ、管理工数を削減することが可能です。さらに、従業員は顔をかざすだけで瞬時に打刻が完了するため、ICカードを忘れるなどの理由で発生する手間を減らし、業務効率化が期待できます。
また、スマホやPCのカメラを利用したシステムなら、テレワークや直行直帰など、柔軟な働き方に対応できます。オフィス外からでも正確な勤怠管理ができるため、企業の生産性向上にも貢献するでしょう。
顔認証による勤怠打刻のメリット

顔認証による勤怠打刻は、不正防止や業務効率化、衛生面の向上など、多方面で効果を発揮します。高精度な本人確認を活用することで、正確な勤怠データを取得でき、管理部門の負担軽減にもつながるため、導入が進んでいる企業が増えています。
ここでは顔認証による勤怠打刻の5つのメリットを見ていきましょう。
1. 不正打刻を防止する
顔認証を導入することで、代理打刻やなりすましなどの不正行為を防止できます。顔の特徴をもとに本人を識別する仕組みなので、ICカードの貸し借りやタイムカードの代行押しなど、不正が事実上不可能になります。
これにより、企業は従業員の労働時間をより正確に把握でき、勤怠データの信頼性を高められます。結果的に企業のコンプライアンス強化にもつながり、持続可能な企業としての評価向上にも寄与します。
2. 高い認証精度でスムーズな打刻ができる
近年の顔認証技術は精度・速度が向上しており、わずか数秒で認証が完了します。これにより、ICカードの不携帯や操作ミスによる打刻漏れ、およびその修正にかかる工数を低減できる点がメリットです。
従業員がカメラの前に立つだけで打刻が完了するため、出勤時の混雑緩和にも効果を発揮するでしょう。認証に特別なコツが必要なく、誰でも直感的に利用できます。これにより、導入時の現場の負担も最小限に抑えられます。
3. ウイルス感染対策に効果を発揮する
顔認証は非接触で打刻できるため、指紋認証のように機器へ触れる必要がありません。そのためウイルスや雑菌と接触するリスクが抑えられ、衛生面で大きな利点があります。
さらに、体温測定機能と連携できるシステムであれば、打刻と同時に検温を実施し、発熱者を早期に把握することも可能です。感染症対策を強化したい企業にとって、顔認証は安全性と利便性を両立できる手段として注目されています。
4. セキュリティリスクを低減できる
顔認証システムには、入退室管理と連携できるタイプもあり、オフィスや施設への不正侵入を防ぐ効果があります。勤怠管理と入退室管理を一元化することで、セキュリティの強化を効率的に実現できます。
また、高精度な本人確認ができるため、ICカードやパスワードなど従来の認証手法に比べて、セキュリティリスクを低減できます。顔認証を導入することで、効率的に勤怠管理とセキュリティ対策を同時に強化できます。
5. 管理部門の作業工数削減につながる
顔認証を導入することで、不正や打刻漏れを減らし、管理部門の確認作業を削減できます。通常の勤怠確認だけでなく、タイムカードの回収や修正、ICカード再発行など、イレギュラーな作業も減少します。
特に、従来の紙やカードで管理していた企業にとって、勤怠データの自動集計やクラウド管理による効率化の恩恵は大きく、労務担当者の負担軽減に直結するでしょう。
顔認証による勤怠打刻のデメリット

顔認証による勤怠管理は非常に便利ですが、導入には一定のコストが発生しやすい点がデメリットとなります。高精度な認証を実現するためには、専用端末や高性能カメラが必要になる場合があり、複数拠点で導入する際にはその分だけ費用が増加します。
iPadアプリ型の比較的安価な選択肢も存在しますが、精度や運用性を優先する場合は慎重に選ばなければなりません。
また、クラウド型サービスであれば初期費用を抑えながら月額制で利用できますが、長期的にはランニングコストが積み重なる点も考慮する必要があります。
顔認証による勤怠打刻の注意点と対策

顔認証を導入する際は、プライバシー保護、混雑時の運用、認証精度の確保、多様な働き方への対応などの点に注意し、各対策を講じることが重要です。
プライバシーへの配慮をする
顔認証で扱うデータは個人情報に該当するため、情報漏洩を防ぐための管理体制が欠かせません。システム選定時には、データの暗号化や外部からの不正アクセスを防ぐ仕組みが整っているか、十分に確認する必要があります。
また、従業員が安心して利用できるよう、利用目的や保管期間を明確にし、その情報を従業員に周知するための規程を整備することが求められます。
出退勤の混雑時への対策をする
出勤や退勤が集中する時間帯には、認証待ちの行列が発生する可能性があります。これを防ぐためには、認証速度の速い端末を選定することが重要です。近年では、わずか0.2秒で認証を完了できる製品も登場しています。
また、従業員数が多い職場では、端末を複数設置して分散させることが有効です。さらに、導入前に動線や利用人数を考慮した配置計画を立てることが、スムーズな運用を実現するための鍵となります。
認証精度を確保する
顔認証は便利ですが、マスクやサングラス、帽子、大幅なメイク、髪型の変化などがあると認証精度が低下する場合があります。誤認識を防ぐためには、これらの状況でも認識できるアルゴリズムを採用したシステムを選ぶことが重要です。
また、利用者に対しては「顔が隠れないようにする」よう運用ルールを周知し、安定した認証精度を維持できる環境を整えることが求められます。
多様な働き方に対応する
リモートワークや直行直帰が増える中、オフィス以外の場所でも正確な打刻ができる仕組みが求められています。スマホアプリで顔認証が行えるシステムなら、場所を問わず正確な勤怠記録を保持できます。
さらに、GPS連携機能があれば、打刻位置を記録することができ、不正防止や勤務実態の把握に役立ちます。働き方の多様化に対応できるかどうかは、システム選定時の重要なポイントです。
顔認証システム導入時によくある質問

顔認証を活用した勤怠管理には多くの利点がありますが、実際の運用にあたり、細かな疑問が生まれることもあります。ここでは、導入前に特に多く寄せられる質問を取り上げ、検討時の不安を解消するためのポイントをまとめました。
化粧やマスクをしていても認証できる?
顔認証システムは、化粧による顔の変化に対応できるため、日常的なメイクであれば認証精度に大きな影響はありません。また、近年ではマスク着用時でも認証可能な技術が一般化しており、鼻や目元などの特徴点を読み取った本人確認ができます。
ただし、製品によって対応範囲が異なるため、導入実績を確認したり、トライアル期間中に実際の職場環境でテストすることをお勧めします。これにより、安心して導入を進められます。
他の生体認証と比較した顔認証のメリットは?
顔認証は、指紋や静脈認証と比べて、怪我や乾燥など身体的な状態に影響されにくい点が特徴です。さらに、認証時に機器へ触れる必要がないため、衛生面でも優れています。
非接触でスムーズに本人確認ができるため、混雑時の処理速度が向上し、利用者の負担軽減にもつながります。このように、顔認証は勤怠管理との相性が良い認証方式です。
顔認証を活用した勤怠管理システムの検討はFaber へ
顔認証による勤怠管理は、不正打刻防止や業務効率化、非接触による衛生面の向上など、多くのメリットがあります。
ただし、導入を検討する際には、「既存のSaaSと連携できるのか」「複数拠点で運用する場合の管理方法はどうなるか」「自社の働き方に合うか」など具体的な疑問が生じることがあります。
こうした不安を解消し、最適なシステムを選ぶためには、専門的な知見に基づいたサポートが不可欠です。Faberでは、顔認証の導入可否や運用方法の相談をできる体制が整っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
